2005年夏 西へ向かう 〜七隈線から天竜浜名湖鉄道トロッコそよかぜ号〜


さて、門司港から門司に出て、特に用があるわけではないのだが、関門トンネルを抜けて下関へ。オレンジカードなんかあるかと思ったが、期待はずれで300系がデザインされた1000円券1枚のみを買い求める。せっかくなので、ここで駅弁「ふくすし」を購入。すぐに九州側に戻ってくる。小倉からは快速で、博多を通りすぎ、一気に基山まで行く。車輌は三井グリーンランド号仕様の811系。車内に乗り込むと混んでこないうちに、駅弁をさっさと食べる。いつみても不思議な空間のスペースワールドの脇を通り抜ける。遊園地斜陽時代だが、このスペースワールドはどうなのであろう。今日は土曜日のため、結構、お客が入っているようで、ジェットコースターも動いているのが確認できた。折尾、黒崎ときたところで、雨がぽつぽつ降り出してきた。その後、眠ってしまい、南福岡の手前くらいまで記憶がない。気がつくとかなり雨脚が強くなっている。基山についた頃は土砂降り状態だった。

817系 折尾から福北ゆたか線経由の博多行 門司港駅 415系 下関行 門司駅
下関駅 415系 行橋行 門司駅
関門間を往来する列車のほとんどが415系です。
下関 ふく寿司 ちらし寿司の上にふぐが2切れのっています。
右下のアルミ箔の中はうにのビン詰になります。
811系 三井グリーンランド号 基山駅

基山でなぜ降りたかなんてもう言わなくても分かると思うが、甘木鉄道に乗るためだ。ちなみにここ基山は鳥栖同様に佐賀県になる。甘木鉄道を訪れるのも12、3年ぶりになるはずである。日中は30分ヘッドと地方3セクにして本数も多い。博多近郊ということで、業績も比較的健闘している。ただ、ちょうど自分のときは鹿児島線との接続が悪く、20分以上待たされた。車輌は最近新しく導入されたと思われるレールバス。激しい雨の中を、鹿児島本線から左側に分かれる。2つ目の小郡は西鉄天神大牟田線との乗換駅。高架下のやや離れたところに西鉄の駅がある。沿線から天神方面へ向かうのはここでの乗換が便利そうだ。その後は、田園地帯をのんびり進む。太刀洗なんて駅名があるところをみると、戦国時代は古戦場だったのだろうか。列車は30分弱で終点甘木に到着。運賃も基山から350円と手軽なショートトリップが楽しめる。

甘木鉄道 AR300形 基山駅 甘木駅に到着
AR400形 卑弥呼号
邪馬台国、甘木説を元に名づけられたものです。
側面には卑弥呼の絵が描かれています。
甘木鉄道 甘木駅 西鉄 甘木駅

甘木駅は駅前ロータリーを挟んで反対側に、西鉄甘木線の甘木駅がある。幸い、雨も弱くなってきたので、早足で西鉄へと急ぐ。この西鉄甘木線に乗るのも甘木鉄道同様に、12、3年ぶりになるというか、当時も、この2線はセットで乗っている。西鉄甘木線も30分に1本で、2両編成の7000系。田園地帯の細道を大牟田方面へ向かう方角へ進んでいく。そのためこの列車も、天神大牟田線の合流地点の宮の陣から直通の大牟田行になっている。宮の陣で乗り換えようと思ったが、合流の地点の急曲線が面白そうだったので、そのまま西鉄久留米まで乗車。ここで折り返して特急で西鉄二日市へ行く。西鉄での目的は昨年6月に乗り損ねていた旧特急車である2000系に乗ることである。2000系は主に急行運用に入ることが多いため、二日市で2000系を待ち構える。しかしくる急行はみな、アイスグリーンの6000系。待つこと20分。ようやく反対側ホームに各駅停車筑紫行で入線。慌てて、跨線橋を渡り、乗り込んだ。っつうか筑紫ってどこよ。(笑)。って車内路線図を見ると3つ目だった。(笑)。車内は3ドアに改造されているとは言え、車端部以外は転換クロスシートが並ぶ豪 華な内装である。1974年にローレル賞のプレートも燦然と掲げられている。短い区間ながら目的も達成できて、筑紫から天神まで戻る。筑紫には特急がとまらないので、通過するが、そのとき、なんと2000系が通過していった。急行運用にしか入らないと思っていたので、ちょっと意外だったというか、こんなことなら、二日市で待っていればよかったってこと?でも、まあ、乗れたからいいか。次にやってきた急行は6000系、この列車で天神まで戻る予定だったが、1つ手前の薬院で地下鉄七隈線は乗り換えとの案内があったので、そうだ、ここで乗り換えてしまおうと思って、薬院で下車。

甘木駅に停車中の7000形 5000形 急行花畑行 久留米駅
6000形 普通福岡(天神)行 久留米駅 8000形 特急福岡(天神)行 二日市駅
5000形 普通大善寺行 二日市駅 5000形 急行福岡(天神)行 二日市駅
元特急車 2000形 筑紫駅 現在は急行運用に入ることが多い。 2000形の車内。3ドアに改造されているものの、
転換クロスシートが並び、元特急車の貫禄が残っています。
1974年 ローレル賞を受賞しています。 普通 福岡(天神)行

今回のメインディッシュを一番最後に持ってきたのだ。というのも、地下鉄はどうせ地下で景色が分からないのだから、夜でもOKじゃんということからだ。といっても、まだ、夕方で、暗くはないのだが。薬院での乗り換えは比較的近くで便利だ。まだ新しい、出入口からエスカレーターでコンコースへ降りる。乗車券を購入して改札口を抜けてホームへ。都営三田線タイプの下半分だけのホームドアが設置されている。やってきた列車は4両編成のリニア式ミニ地下鉄。車内は今流行の木目パネルが使われており、グリーンの座席と相まって、非常に落ち着ける雰囲気になっており、車内というより、どこかのオフィスのような感じがする。そして、驚いたことに運転席には仕切りがなく、ステンレス製のバーがあるだけで、オープンになっているので、客室内から前展望も十分楽しめる。地下鉄の前展望というのも、地上と違って、興味深いものがある。また、各駅にはシンボルマークがついている。このシンボルマークは例えば、桜坂ならピンクの桜の花びらをあしらったもの。六本松なら緑で松の木を図案化したものなど、ユニークで分かりやすい。このシンボルマークは七隈線だけでなく、空港線や 箱崎線にも設けられている。利用者低迷と言われているが、夕方ということもあり、座席がほぼ埋まる程の乗車率。郊外に向かうため、各駅に着くごとに、少しづつ降りていくというパターンである、約20分で終点橋本に到着。

西鉄 薬院駅 地下鉄七隈線 薬院駅 
西鉄の駅と直結していて乗り換えは比較的便利です。
薬院駅 改札口の様子 ホームへ降りる階段に設置された路線図
七隈線 3000系 リニア式ミニ地下鉄です。 運転台の様子 客室との間に壁がありません。
客室との仕切りがないためご覧のように前面が展望できます。 車内の様子 グリーンの座席に木目調の貫通部分、
曲線のステンレスの握り棒がとても洗練されたデザインです。

ここから折り返すが、ワンマン運転のため、後部運転台には、スチール製のカバーをかけて鎖錠して、ステンレス製のバーは解放されるということで、運転席が解放される。そのため運転席の座席は、二人がけのベンチシートになっているので、ここに座ると小田急ロマンスカー顔負けの後展望が楽しめるというわけだ。行きは薬院から乗車しているので、薬院―渡辺通―天神南が最後の区間となった。ここで、ようやく久しぶりに、JR、ケーブルカーを含む私鉄全線が完乗状態となった。おめでとう!!!って自分で言うな!(笑)。さて、このあと、南福岡にあるスーパー銭湯に汗を流しに行くのだが、少しゆっくり回りすぎたため、時間がだいぶ押してきた。ムーンライト九州の発車までまだ1時間半ほどあるので、なんとか大丈夫だろうということで、天神南から空港線の天神に乗り換える。噂どおり、かなり離れており、地下街を延々と歩くこと15分。やっと到着した。ここでの乗換は1枚の切符で3時間以内に改札口を通ればいいという制度になっているので、この遠さ不便さを逆にウリにして、乗換の間に天神での食事やショッピングを楽しめるようにしている。ただ、急いでいるときはやは り、なんとかして欲しい。将来的には七隈線が博多方面へ延びるそうなので、解決はその時になるのだが、まだ免許もとれていないし、だいぶ先のようだ。

終点 橋本駅 駅名標 橋本駅に到着した3000系
ミニ地下鉄のため側面方向幕は車端部の窓部分に設置されています。 橋本駅 ホームにある路線図
全駅ご覧のようなホームドアが設置されています。 ホーム柱の路線図
七隈線の開業で福岡も地下鉄路線図らしくなってきました。
後部運転台の様子
運転室に乗客が立ち入れてしまうために、運転台にカバーがされます。
運転台の様子
運転席は後部の時は乗客も座るため2人掛けのシートになっています。
ここからの後展望は小田急ロマンスカー顔負けの眺めです。
渡辺通駅 駅名標 路面電車のシンボルマークは明治時代に
路面電車建設に力を尽くした人の名前からとった渡辺通に因んで
います。渡辺通にはおよそ、30年ぶりの鉄道復活になります。
天神南駅 駅名標
天神南駅ホームの様子 天神南駅 コンコース
天神駅の地下鉄路線図 空港線 1000系

博多からは快速で南福岡へ。ここから駅近くのスーパー銭湯、極楽湯へ行く。最近はこの手のスーパー銭湯が駅近くにもできてきたので、銭湯探しも随分楽になった。料金も500円と比較的割安な上、浴室、湯船も広い上に、露天風呂もあり、シャンプー、ボディーシャンプー類も備えついている。ちなみに、南福岡の極楽湯は駅を降りて、博多方面に200m程、線路沿いに歩き、踏切をわたったところにある。この踏切は南福岡電車区の出入口にもなっているので、少々広い上に、さまざまな列車が通る。
極楽湯に到着してまずは、夜7時半過ぎなので、夕食をとる。あまり美味しくはないが、博多ラーメンを食べる。すぐに、入浴、あまり時間がないので、せっかく広い湯船なのに、慌しくあがる。外に出ると雨がまたポツポツと降り出してきたが、傘を差すほどでもなく、そのまま駅に向かった。なんとか予定の普通列車に乗って博多駅に戻ってきた。南福岡の電車区にはこれから乗るムーンライト九州のピンクの14系が今や遅しと出番を待っているのが確認できた。

ムーンライト九州発車案内 博多駅 下関駅に到着

ムーンライトの発車まで20分ほどあるので、その間に、KIOSKでお土産を物色。明太子せんべいと高菜の辛子漬けを購入。ホームへとあがる。まだムーンライトは入線しておらず、ホームには大きな荷物を抱えた多くの若者が入線を待ち構えていた。発車5分前、EF81を先頭に14系が入線。一斉に乗り込むが全車指定のため、席取合戦のような混乱は生じない。窓側の席だったが、隣には大学生と思しきイケメン兄ちゃんが座った。何人かのグループらしく、自転車を車内に持ち込んでいるが、元はシュプール用なので、荷物置き場がふんだんにあり、その自転車もなんなく収まったようだ。
列車はすぐに動きだし、夜の9時ということでしばらくは流れる景色を眺めながら起きていた。門司で九州と別れを告げ、関門トンネルを通って本州側へ。下関を通り、厚狭に到着。厚狭を出ると、岡山到着まで停車駅がないので、車内が減光され、それと同時に眠ってしまった。列車がとまった気配に気付きそっとまぶたを開けてみると、見慣れない「新山口」の駅名標。一瞬どこだ?って思ったが、一昨年に改称された元「小郡」である。岡山で隣のイケメン兄ちゃんが降りたようなのだが、全然気付かず、起きたのは翌朝、だいぶ明るくなった明石あたりであろうか。

下関に停車中のムーンライト九州 ムーンライト九州 サボ

さて、今日はこのまま東海道線をのぼって東京を目指そうとは思っていたのだが、そのまま帰るのもちょっと味気ないので、久しぶりに新所原から天竜浜名湖鉄道に乗ろうと計画を立てていたら、ちょうど三ヶ日からトロッコ列車が走ることが分かる。このまままっすぐいくとちょっと時間は早すぎるので、どこで時間潰しを行なおうかと時刻表をみていると、終点の新大阪で約1時間後に、あかつき・彗星が到着することが判明。彗星は今度の10月の改正で廃止されることになっているので、撮影するなら今が最後だ。あかつきの併結相手も変わると思われるので、あかつき・彗星のヘッドマークも見納めになるはずだ。新大阪でムーンライト九州を降りて撮影をしたあと、とりあえず、朝飯にと買った駅弁は「大阪ファンタジー」という名の幕の内弁当。パッケージのデザインがいかにもこてこての大阪らしいデザインだったので買ってみた。中身はどこがファンタジーなのかよく分からないが、それなりにおいしい弁当だった。

新大阪駅に到着したムーンライト九州 14系 展望車
幕の内弁当 大阪ファンタジー
いかにも大阪らしいコテコテのイラストです。
中味は白身魚のフライがメインのオーソドックスの幕の内弁当です。

さて、あかつきがやってくるホームには、「はるか」、「スーパーくろしお」、「サンダーバード」など関西を代表するような特急列車が次々の発車し、見ていても飽きることはない。いよいよ、そんな感じで意外にすぐに1時間は過ぎて、いよいよあかつき・彗星の入線となった。併結でフル編成の15両のため機関車部分はホームからはみ出して止まるため、入線最中にシャッターを切って、なんとか無事撮影ができた。

681系 サンダーバード 新大阪駅 10周年の記念のステッカーがついています。
381系スーパーくろしお パノラマグリーン 反対側はオリジナルの381系です。
281系 はるか 新大阪駅 彗星・あかつき 発車案内
2006年のダイヤ改正で彗星は姿を消します。改正後は
あかつきはなはとペアを組むためこの彗星・あかつきの
ヘッドマークも見納めとなります。
あかつきレガートシート

さて、このあとはすぐに、米原へ快速で向かうが、京都から先は各駅停車。東海道線で221系に乗るのは久しぶりで、のんびり米原まで戻ってくる。米原からは超えるに超えられぬ関ヶ原越え。と思ったが、珍しく、211系の6両編成がやってきた。オールロングシートだが、十分座れた。ちょうど、前に座っていた親子連れの小学生くらいの男の子の方が「この区間で座れるなんて奇跡に近いよ」と話していて、思わず、うなずいてしまった。(笑)。さて、無事、大垣に到着し、乗客の大半が、名古屋方面の新快速に乗るため、跨線橋へ急ぐ。6両の211系を4両の313系で受けるのだから、席取合戦は必須だ。

221系 京都から各駅の快速米原行
京都を出ると種別幕は普通になります。 米原駅
211系 大垣行 大垣駅
関ヶ原超えは珍しく6両編成の211系のため座ることができました。
1日1本の大阪からのキハ85系ワイドビューひだ 米原駅 大阪方は非貫通タイプです。

しかし、自分はこのまま行ってもまだちょっと時間は早いので、美濃赤坂を往復することにした。ちょうど17分後に電車があるようなので、欠き取りの3番ホームへ行く。2両編成の313系が乗客を待ち構えていたが、車内は閑散としている。発車を待つ間、雲行きが怪しくなってきてぽつぽつ雨が降り出してきた。そのうち激しい雨とななって窓を打ち付けてきた。発車時間になったが、乗客は2両編成に数える程。しかも、自分を含めた鉄が2、3人。東海道本線に沿って進み、ちょうど分岐点に荒尾、そして別れて少し走ると終点美濃赤坂になる。さきほど、東海道本線に沿って進みと書いたが、ここも正式には東海道本線だ。とは言うが単線だ。終点美濃赤坂は無人駅で、古びてはいるが立派な駅舎も存在する。構内は元貨物駅用の長いホームが何本かあり、かなり広い。雨の混じるなか、足早に写真を撮って、再び、車内に戻り、大垣へ。雨はますます強くなり、土砂降りになる。

313系 美濃赤坂行 美濃赤坂駅 駅名標
美濃赤坂駅 ここで線路が途切れます。
元貨物駅だったため構内は貨物用のホームもあり、
構内は非常に広いです。
ひまわりと313系
美濃赤坂に停車中の313系 313系新快速浜松行 大垣駅

大垣に戻ると、樽見鉄道のDLがホームに留まっていたので、パチリとシャッターを切って、新快速に乗り込む。

樽見鉄道 TDE102ディーゼル機関車 樽見鉄道 TDE103ディーゼル機関車

時速130kmで駆け抜けるため、雷雲が後ろに走り去る。浜松行だが、この新快速を新所原で降りた。ここから久しぶりに天竜浜名湖鉄道に乗る。新所原の駅は、JRと天浜線と駅舎が別れており、天浜線の駅構内にはうなぎ屋さんが入っており、昼時に食欲のそそる匂いを放っている。焼きたての弁当も販売しており、値段も比較的安いので1つ買い求めたかったが、実は、このあと乗るトロッコ列車で、トロッコ弁当なるものを予約してしまっていたので、今回は諦めた。12時23分に着いたのだが、天浜線の窓口はお昼休みのため12時30分から開く。開いた窓口で早速、乗車券を買い求める。単純に新所原から掛川まで乗り通すならみちくさきっぷがお奨め。普通運賃だと1280円のとこ、1200円で途中下車も可能になる。ちなみに、フリー切符ではないので、途中下車はできても後戻りはできない。後戻りをしたいなら1800円の1日フリーきっぷもある。実は、今回後述するトロッコ弁当を予約のために事前に東京から電話をしておいたのだが、弁当の予約のためだけに電話したのだが、対応した女性が、トロッコの予約まで一緒にしてくれて、その上、新所原から掛川まで乗られる ならみちくさきっぷがお得ですと案内してくれた。ホームページで知っていたものの、こういう案内をちゃんとしてくれるのには好感が持てる。そして心配なのが、この天候でトロッコ列車が走るかどうかだ。まだ雨は降っていないが、先ほど、新快速で追抜いてきた雷雲が近づいてきているのは明らかだ。窓口の駅員にトロッコは走りますか?と聞いてみたら、今のところ、運休という情報は入っていませんとのことで、予約したことを告げると、400円のトロッコ整理券を売ってくれた。しかし、みるみる辺りが暗くなり、まもなく、新所原でも激しい雨が降り出した。叩き付けるような雨の中を折り返し12時59分発の列車に乗り込んだ。

JR新所原駅 天竜浜名湖鉄道 新所原駅
TH2100型 新所原駅 TH2100型 三ヶ日駅
トロッコ列車そよかぜ 三ヶ日駅 先頭車はレールバスが牽引します。

こんな土砂降りの中、本当にトロッコが動くんだろうかとかなり心配になる。晴れていれば右に浜名湖が眺められるが、それも、この雨では霞んで見られない。とりあえず、トロッコが出る三ヶ日についたので、土砂降りの中、ホームに下りた。すでに、トロッコそよかぜ号はスタンバっており、団体の乗客も乗せて出発を待っている。まじ?この大雨の中を走るの?とりあえず、乗ってみたものの、大量の雨が吹き込んで、車内はびしょぬれ、とても座れるものではない。とりあえず、予約しておいたトロッコ弁当を1000円で車内で引取、幸い、先頭には牽引機となるレールバスが1両ついているのでとりあえずこちらに一時避難。少したつと雨も峠を越してきたようで、せっかくなので、思い切って、トロッコ車輌に移る。係員がタオルを配ってくれたので、それで、椅子やテーブルを拭いて、座る。そして、希望の方には雨合羽の貸し出しもあると言う。そこまでして雨の中のトロッコに乗るか?(笑)。しかし、天候は急速に回復し、出発時には、曇り空だが、雨はすっかりやんだようだ。とにかく、おなかもすいているので、早速、トロッコ列車弁当を広げてみた。トロッコ列車がデザインされた パッケージに惹かれて購入したのだが、中身は御飯とおかずの2段重ねでおかずも満載。御飯には金糸玉子の上に、浜名湖名産のうなぎが3切れ乗っている。この弁当、先ほども書いたが、前日16時までの予約制なので、当日ふらりと行っても食べられないので要注意。予約先は天竜浜名湖鉄道のホームページを参照。さて、ゆっくり車内を見る余裕もなかったのだが、ここであたりを見ると、この天候にも係わらず、かなりの人数がトロッコ列車に乗っている。2両編成のうち8割方が埋まる感じで、ほとんどが親子連れだ。列車は浜名湖北岸をゆっくりと走り、こんな曇り空でも、やはりそれなりに心地よい。まもなく浜名湖とは別れる。西気賀で列車交換のため数分停車したが、先ほど三ヶ日で弁当を売ったり、タオルを配っていた女性係員は、なんと運転士であることが判明。しっかり運転席に座っていた。こういう地方鉄道は、一人が何でもやるんだよね。

予約制のトロッコ列車弁当 1000円です。 中味は2段重で御飯には金糸玉子に浜名湖名産のうなぎが
乗っています。おかずはピクニックに行くお弁当のように
賑やかです。
車内の様子 木製のベンチシートにテーブルがついています。 トロッコ列車はTH100型、TH200型になります。
天竜浜名湖鉄道最古参のTH1型がトロッコの先頭に立ちます。 側面サボ
トロッコ列車側面の様子 TH1型側面。トロッコ列車に合わせた塗装になっています。
遠州鉄道30系とも並びます。 満々と水を湛えた天竜川を越えます

次の気賀で、大半の親子連れが降りていった。気が着かなかったが、添乗員が案内しており、どうも団体ツアーだったようだ。車内はちょっと寂しくなったが、このあとは山間部を進む。鬱蒼と茂った森の中を進み、温暖なためか野生化したバナナ等も植わっており、熱帯雨林の中を走っているようだ。木の枝なんかも車輌にあたり、まさに野趣あふれる中を進む。山を下ると、街がひらけて、西鹿島に到着。ここで、新浜松からくる赤色の遠州鉄道と出会う。西鹿島を出ると、まもなく天竜川の鉄橋を越える。列車はサービスのため最徐行。天竜下りの船からも手を振られ、振返す。天竜川を越えるとこのトロッコ列車の終点天竜二俣は近い。雨で心配していたトロッコ列車の旅も結果的には無事終わり、ほっとした。天竜二俣駅は、この鉄道の中心地ということで、駅自体もわざと古いまま改築せずに、自然なレトロ雰囲気が残っている。そして、タブレットキャッチャーや腕木式信号なんかもおいてある。駅舎よりには使わなくなった線路を利用して、子供用に機関車を模した足こぎのまさにトロッコなんかもあって、子供が順番待ちをして楽しんでいる。駅の外に出てみると、駅前にはC58のSL。屋 根はついているが、ちょっと痛みが激しいのが残念だ。そして線路沿いにはこちらも風雨にさらされたキハ20と20系客車が1両ある。ちょうど、ボランティアの人たちが、キハ20の塗装作業のため足場を組んでいた。その線路脇は公園のように整備されており、駅前のSLも含めて、この3両の車輌で、ミニ鉄道公園なんかに整備されるといいのだが。

天竜二股に到着です。 天竜二股 駅名標
天竜二股駅 ホームの様子 通票受器もあります。
駅構内の様子 使用していない線路を利用して子供用の足こぎトロッコがあります。
天竜二俣駅 腕木式信号も立っています。
天竜二股駅前に展示してあるC58
屋根はついているがちょっと痛みが激しいです。
しかし、不良学生の立ち入りお断りって・・・
今時不良学生って...???(笑)
機関車の概要
キハ20 ボランティアの方によって塗りなおされるようです。 20系客車 こちらも痛みが激しいです。

天竜二俣からは後続の列車で掛川へと出る。遠州、森の石松で有名な遠州森をとおり、40分程で掛川に到着。新所原から約3時間かけて掛川まで来たわけで、東京にさぞかし近づいているだろうと錯覚するが、東海道線なら1時間弱の距離。当たり前だがまだ静岡の手前なわけで、東京への道のりはまだ長い。

TH3000型 天竜二俣駅 今日の仕事を終え、側線で休むトロッコ列車そよかぜ
TH2100型 掛川駅

掛川は新幹線の駅でもあるが、本当に乗換駅と思わせるほど簡素な作り、在来線側には駅弁はおろかKIOSKもない。掛川からは30分程揺られて静岡に到着、熱海行には1分の接続で慌しく乗り換える。帰りもこんな天候ではやはり富士山は拝めず、日も短くなり暮色の中を由比、蒲原と進む。函南でJR東海管内とも別れを告げ、丹那トンネルを抜けて熱海に到着。ここから4分接続で最終行程の東京行に乗る。グリーン車に乗ろうかと思ったが、ホームにグリーン券売機は見当たらないし、(別機会によく探すとありました。)改札外まで買いにいってる時間もない。別に座れないわけでもないので、割高の車内料金を払う気になれなかったので、そのままE231系のしかもロングシートの部分に座り帰ってきてしまった。
ということで、足掛け3日。18きっぷで九州まで行ってくるという年甲斐もない無謀な鉄もなんとか無事終了!


2005年夏 西へ向かう 前編
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