セントレアμスカイと岐阜市内3線 前編
2月18日、1月に休日出勤をした見返りに代休を取得。開業したばかりの中部国際空港セントレアと3月末で廃止になる名鉄岐阜市内3線乗り納め、そして、昨年開通していたが乗りに行くのがのびのびになっていたあおなみ線と地下鉄名城線の初乗りもしてくる。というちょっと盛りだくさんな内容。本当は3月6日にリニモが開通を控えているのでそれまで待ちたい気もするが、浮世の都合でなかなか調整がつかず、新しく開通したものは逃げはしないが、3月末に廃止される岐阜市内3線にはぐずぐずしていると乗り損なう危険性もある。ということで、今回、リニモはまた別機会ということで、名古屋行を決行する。
3月に入ってからであれば18きっぷも選択肢に入るが実際問題、有効期限の4月10日までの週末はすでに結構予定が入っており、使いきれそうもない。それに18きっぷとてただではない。11500円はするわけで。そこで今回は巷では結構有名なJR東海ツアーズから発売している「ぷらっとこだま」を利用することにした。何気に初利用だ。価格は東京−名古屋7900円。通常料金は10580円だから2680円安くなる。往復だと15800円。18きっぷよりは4500円程高くなるが、使い切らない切符を持て余しながら鈍行で行くなら、このくらいの差額で新幹線というのも悪くない。
朝一に出て、夜帰ってくれば、全て予定をこなして日帰りでも可能だ。しかし、せっかく名古屋まで新幹線使って行くなら1泊くらいはしたいものだ。どこぞのビジネスホテルでもと思っていたら、こだま往復+1泊の「ぷらっとこだまシングルEXプラン」なんてのがあるようだ。値段を調べてみると、意外と安く、名鉄ニューグランドホテルに泊まるプランで22500円。もう少し格の下がるホテルでは20700円というプランもあったが、名古屋駅前という好立地とちょっと贅沢するということで、名鉄ニューグランドホテルにする。なによりも鉄道系のホテルだしね。(笑)。しかし22500円から新幹線往復の15800円を差し引くと宿泊代は6700円ということになる。本来宿泊を予定していた丸の内東急インでもメンバーの格安プランでほぼこのくらいだからお値ごろではある。ちなみに後で調べたら、名鉄ニューグランドホテルのシングルの正規客室料金は10000円。割引プランでも8000円というそれなりのホテルである。
東京6時23分発 こだま441号 名古屋行 | 青色LEDが効果的に使われています。 |
こだま441号 300系 今やこだまも300系の時代です。 | 行先方向幕 |
300系にも AMBITIOUS JAPAN! のステッカーが貼ってあります。 |
ぷらっとこだまのチケット 船車券です。 |
さて、当日は6時23分発の朝一のこだま441号に乗るために外はまだ暗い4時半起き。かなり眠い。普通新幹線の切符と言うと東京都区内→名古屋市内となっていると思うが、ぷらっとこだまはいわゆるパッケージツアー扱いのようなものなので、東京→名古屋となっていて、東京駅までは乗車券を購入しなくてはいけない。きっぷの方式もJRのみどりの窓口で発行するようなものではなく、旅行代理店が発行するクーポン件いわゆる船車券方式だ。そんなわけで在来線との連絡改札口も利用できないので、1度、在来線の改札口を出て、改めて、新幹線の改札口から入る。6時前の東京駅。漆黒の空がやや紺色に変わってきたかなというところ。久しぶりに乗る東海道新幹線に胸を躍らせていたわけだが、こだまということで、なぜか0系を想像していた私。(笑)。よく考えれば、0系は東海道新幹線からはとっくに引退。次の世代である100系さえいない。当然、300系か700系ってことはよく考えなくても分かりそうなものだが、なぜか自分にはこだま=0系という固定観念があるようだ。ホームにはすでにその300系が入線していたが、ドア扱いはまだおこなっておらず、16両の長い
ホームの一番前までテクテク歩いて行き、
写真なんかを撮って時間を潰す。発車10分程前になって扉が開き、乗り込む。さすがに早朝ということでお客はあまりいない。16両のうち、グリーン車が3両、指定席車が3両。あとの10両は自由席。今のこだまはこんな感じ。短区間利用が多い列車なので、わざわざ指定席に乗るというのは少数派のようだ。さて、空もだいぶ明るくなった6時23分に東京駅を発車。そろりそろりといった走りでチャイムは聞きなれていた新幹線オリジナルのものから、TOKIOのアンビシャスジャパンに変わっている。車内放送もろくろく入らないうちに品川に到着。品川を出るとすぐに八ツ山トンネルに入る。下に見慣れた東急のステンレスカーが見えて、なんでこんなとこにって思ったが、この付近が大井町線下神明になる。多摩川を渡り、あっという間に新横浜。品川に停車しても所要は18分。やっぱり新幹線は早い。さて、次の新横浜−小田原間が今回乗車区間では一番長い駅間になる。この区間、在来線とは大きくルートが離れて大きな中心都市を通らないからというのがその理由ではあるが、構想としては新駅計画があっては消え、あっては消えという感じのようだ。私個人としてはこれ以上駅を作
っても仕方ないと思うが...。この間、こだまと言えども、最高速度270km/hが出る300系。当然、そのMAXスピードまで出している模様。昔は270km/hは飛ぶような速さに感じたものだが、今はさしたる感動もない。慣れとは恐ろしいものだ。
冬のソナタ弁当 1000円 | 中身は9種類の韓国料理が詰まっています。 |
さて、今朝はちゃんと朝食を食べてきたのだが、東京駅で駅弁なんぞを買ってきている。普段は小食だが、鉄するときはよく食べるのだ。今日も1日4食コースかな。しかもその駅弁は今話題沸騰中の冬ソナ弁当(正式名称は冬のソナタ弁当)(笑)。相変わらず、流行に弱いなあ...(笑)。値段は1000円。今の時代、駅弁としては標準的な値段だ。肝心の中身だが、9種類の代表的な韓国料理が小分けにして入っている。味の方もなかなかいける。何よりも、今まで駅弁になかった韓国料理というのが目新しくて新鮮だ。この冬ソナ弁当は3月までの限定だが、ネーミングを替えて、このまま駅弁の1つとして定着させてもよさそうだ。
しかし、覚悟していたものの、やはり「こだま」はよく止まる。ほぼ、10分ごとに停車して、そのたびに、後続の「のぞみ」や「ひかり」に抜かれていく。2本抜きなんてのも平気である。乗客の方は、各駅に停車するごとにぽつぽつと乗り降りがある。それでも名古屋に着く頃には、7割方の座席が埋まっているというまずまずの利用率。かくして、「のぞみ」なら1時間40分程で着くところを、2時間50分かけて到着する。しかし、18きっぷの鈍行での旅に慣れている者にとっては、それでも、驚異的に早く感じるものだ。
名鉄名古屋駅に掲示されていた ミュースカイのポスター |
名古屋出身の玉木宏が起用されています。 |
名古屋からは、名鉄に乗り換える。駅名も、先月1月29日から新名古屋から名鉄名古屋に改められている。それでもJRとの乗り換えは、やや離れ気味で、少し歩く。窓口で3800円の名鉄2日間フリーきっぷを買い、早速、中部国際空港までの、μチケットを買おうとしたが、電光掲示板には、1時間先まで、見事に全車満席。ちょっと焦る。三大都市圏とは言え、所詮は名古屋。東京や大阪の人口の比ではない。中部国際空港なんて行ったって、別に、東京便や大阪便があるわけでもないし、そんなに混んでないだろうと、かなり甘く見ていたが、見事に外れた。開港2日目と言うことで、平日だというのに、結構見学者がいるようだ。仕方ない、それなら、一部指定特急の一般車に乗ることにしよう。とホームに行くが、すごい人。座れないかも。名鉄の中心駅であるにも関わらず、名古屋は3面2線という手狭さ。次から次へと列車が発着する。まず、全車指定の新型快速特急μスカイ中部国際空港行が入る。6両編成だが、すでに満席で「μチケットをお持ちでない場合は、座ることは出来ません。」との案内が繰り返し流れる。
新名古屋から名鉄名古屋に駅名が変更されました。 | 中部国際空港(セントレア)の駅名標 |
その2分後。一部一般車のこちらも新型特急車の2200系が入ってくる。本来はこの列車の指定部分に乗る予定だったが、止む無く一般車へ。すさまじい人の数に最初はびびったが、実際に乗り込んだ人はそうでもなく、意外にも、転換クロスシートの窓側に座れてしまった。指定席じゃなくても、今回はこれでラッキーとしておこう。しかし、混雑には変わりなく、次の金山、神宮前とさらに乗ってくる。この2200系は、2000系と同じく空港アクセス用として導入されたが、名古屋本線を走る1000系のパノラマスーパーのように、前2両が座席指定、後ろ4両が一般車になっている。そして、一般車の方は、3ドア車で、前方のドア間がクロスシート、後方のドア間がロングシートという、変則的なセミクロスシートとなっている。混雑緩和のための、独特の車内レイアウトだ。エクステリアは、白のボディーに名鉄スカーレットでアクセントが着き、先頭部は貫通型のように見えるが実は非貫通。ぱっと見は東京の成田エクスプレスによく似た印象を受ける。さて、神宮前を出ると、名古屋本線をオーバークロスして知多半島へ向かう。次の停車駅は河和線と別れる太田川。太田川からは尾張 横須賀、朝倉、新舞子、常滑とこまめに停車、地元を降ろしてゆく。榎戸を過ぎると昨年1年あまりにわたり、運休にして工事を進めた新線区間に入る。常滑駅は2面4線の立派な高架駅に生まれ変わった。ここからが、本当の新線区間の名鉄空港線。最近、名鉄は廃線ばかりが目立ったが、久々の新規路線となる。高架のままで、新駅である「りんくう常滑」を通過し、そのまま、洋上へと踊り出る。まもなく、前方より空港が近づいてくる。車窓上空には、今、離陸したばかりの飛行機も見える。右に巨大なターミナルを見ながら、そのまま、中部国際空港駅に到着した。駅は2面2線のシンプルな構造だが、ホームには平行してガラスで区切られた通路があり、寒さ、暑さ対策も万全。列車が到着すると、多くの乗客が車両と一緒に記念撮影。その他、開港2日目ということでテレビ局の取材カメラも回っていた。改札口は、大きなスーツケースを持っていてもスムーズに通れるように、全て、幅広のものが設置されている。そして、電車を降りて、改札口を出て、飛行機の搭乗口まで、一切段差はなし。完全なバリアフリー。車椅子の人だけでなく、重い荷物を持った人もこの構造にはどれだけ救われるか 。まず到着して最初にやったことは折り返しの快速特急のμチケットを抑えておくこと。行きは各列車満席だったわけだから、早めに抑えておこうということで、自動券売機で約1時間後の新鵜沼行のμスカイのチケットをおさえておいた。
2000系、2200系空港特急同士の並び 中部国際空港駅 | 2200系 一般車側 前面は同じ空港特急の成田エクスプレスに似ている感じがします。 |
側面の行先表示 名鉄独自の方法で多色で昼間でも見やすく なっていますが、ちょっと色が薄いのが気になります。 |
側面の2200系のエンブレム |
さて、空港は新しいだけあって、きれいそのもの。せっかくここまできたわけだから、1時間程時間をとって、空港内を見学する。まずはこのセントレアの最大ポイントである展望デッキへ。他の空港のようにちょこちょこって覗けるような感じではなく、サテライトの屋上全体が展望デッキなので、とても広々としている。ベンチもあって、陽気のいいときは、飛行機をぼんやり眺めながら座るのもいいだろう。しかし、今日は、まだ2月の上に、曇り空、そして海上ということで相当寒い。にもかかわらず、多くの見学者がこの展望デッキにでている。そして、ここにもテレビカメラが回っている。ご苦労様です。あまりにも寒いので、ぐるっと1周してターミナル内へ。とは行っても、かなり広いので、1周といっても結構時間がかかる。
次にショッピング・レストラン街をぐるっと1周。本当はお昼も近いし、ここで昼飯食ってもいいかなって思ってたんだけど、大混雑で、とてもそんな雰囲気ではない。しかしせっかくきたのだから、名古屋名物の天むすをテイクアウトすることにした
中部国際空港のロビー | 国内線ターミナル JALとANAが駐機しています。 |
こちらは国際線ターミナル タイ国際航空と香港のキャセイパシフィック航空が見えています。 |
空港内のショッピングモールにある噴水 空港内というよりテーマパークというコンセプトで設計されたそうです。 |
そろそろ時間になり、再び、ホームへ。ちょうど折り返しの新型2000系のμスカイが到着したところ。今までの名鉄のイメージから一新されて、純白のボディーにブルーが映えたデザインでエクステリア的には行きに乗った2200系と色違いの兄弟のような感じだ。何枚か写真撮影をして、早速、乗り込む。客室に入ってまず目に付くのが、荷棚に飾りとしてつけられている青色のLED。どこか未来の乗り物をイメージさせる。そして、通路上には、案内用の液晶パネル。通勤形ではE231系や東急5000系ですでに導入されているが、特急方では初めてだと思われる。この液晶画面を使って効果的に停車駅の案内が行なわれ、また、進行時には、運転台に取り付けられたカメラで、前展望が楽しめるようになっている。側面の窓も大きく、視界が大きくとれ、座席の座り心地もよい。さすが、最新特急型と言った感じである。この列車は今回のダイヤ改正から新たに設けられた種別で、特急の上を行く、快速特急。停車駅は、中部国際空港を出ると神宮前まで止まらない。短い3両編成ということもあって、案の定、出発時点ではほぼ満席になった。常滑を過ぎて、線路が地平に戻ると、車内とは 違って、名古屋郊外といったいかにものんびりとした景色が続く。途中左手には、大きな大仏(この言い方なんか変。大きいから大仏であって、わざわざ大きいなんてつけなくてもいいよね。きっと。)なんかも見えてくる。しかし、中部国際空港と名鉄名古屋間はこの快速特急だとわずか28分。あんまりのんびりする暇もなく、神宮前、金山と停車し、地下に潜って、名鉄名古屋に到着。ここで乗客の大半が降りて行った。車内も落ち着いてきたところで、先ほど買った天むすの包みを解く。この天むすは、小海老の天ぷらが入っていてなかなか美味しい。そうこうするうちに、東枇杷島の分岐を平面で右に分けて犬山線へと入り、岩倉。江南と停車する。そして中部国際空港から50分で犬山到着。さすがに車内はガラガラになった。ここから、犬山遊園、そして終着新鵜沼となるが、一つ手前の犬山遊園で下車。
2000系ミュースカイ | 側面の行先表示 快速特急は白地にオレンジでの表現です。 |
2000系のエンブレムと側面の様子 名鉄らしくもないブルーの採用です。空港ということで空と 常滑沖といことで海をイメージしています。 |
車内の様子 荷物棚のLEDが印象的です。 |
空港内で買った天むす 開店記念ということでピーナッツ菓子を粗品にくれました。 |
天むすです。 小エビの天ぷらが中に入っていてとてもおいしかったです。 |
通路上に設置された液晶パネル 停車駅案内に効果的に 使用されています。 |
犬山遊園に到着したミュースカイ |
すべての特急、快速特急が停車するというのに、なんか閑散とした雰囲気が漂い、当然、降りたのも自分一人。なぜここで降りたかというと、久しぶりに犬山モノレールに乗るためだ。近年、どこも鉄道会社経営の遊園地が潰れているわけで、この犬山遊園ことモンキーパークはどうなのか分からないが、あまり明るい材料がありそうもない。しかもモノレール自体もかなり老朽化している。新型を入れるなんて話もないし、なにかあるといけないので、機会があるとき乗っておこうということだ。地下通路をくぐって、一度改札口を出る。駅務室に駅員がいるようだが、ぱっと見は無人ぽく、自動改札だけが並ぶ。モノレールは改札口が別になっているが、悲しいくらいに人影がない。よく見ると、2月14日〜28日の平日は休園とのこと。もしかしてモノレールも運休?って思ったが、どうやらモノレールは運行しているようで、階段を上がってホームへと行く。全身派手なラッピングの3両編成のモノレールには一応、2人ばかり先客がいて、辛うじて体裁が整ったという感じ。名板をみると昭和37年。いつ廃車になってもおかしくない古さだ。発車時間近くに、もう一人、若い客が乗り込んで、私を 含め、4人の客を乗せて出発した。発車するといきなり急カーブ、急勾配。すぐに成田山に到着。ここで、先客だった2人が降りた。さらに登ってゆき、犬山遊園からわずか3分で動物園に到着。ところが、運転士が振り向きざまに、一言。「今日は動物園休みですよ。」そんなこと分かっとるわい。って思いながら、「モノレールに乗りに来ただけですから。」と答える。もう一人の若い客はもっとストレート。「いわゆる、乗り潰しってやつです。」なんだ、こいつも鉄だったんだ。しかしご立派なご解答。ということで、運転士はホームのドアさえも開けてはくれなかった。休園日はそういう決まりになってるんだろうね。まもなくモノレールは元、来た道を折り返し、ミニトリップは終了。帰り際に運転士が降りてきたので、バツの悪そうに、「お世話様でした。」と挨拶だけはしておいた。(笑)。
犬山遊園駅 | モノレールのりば 休園日でも運行されてました。 |
犬山モノレール MRM100形 | 現在はかなり派手なラッピングが施されています。 |
車内の様子 オールクロスシートで家族連れのため 2+3人掛けになっています。 |
運転台の様子 |
昭和37年 日立製 すでに43年が経っています。 | 形式表 |
動物園駅の奥にはもう1編成あります。 | 犬山遊園に戻ってきたモノレール このモノレールの成功が東京モノレールに生かされました。 |
さて、犬山遊園からは、各務原線で岐阜へ出る。次に来るのは急行ではなく、各駅停車。ちょっと気落ちしながら、それでものんびり行くかと思っていたら、やってきたのは7000系パノラマカー。ラッキー!しかも展望席が開いていたので、心行くまで前展望を楽しむ。いくら古い車両とはいえ、各駅停車で展望席がただで味わえるっていうのは破格のサービス。かつて併用橋であった犬山鉄橋を通り、展望席での行程が始まる。途中、各務原市役所前は1月28日までは各務原飛行場という駅名で、新名古屋、新岐阜、新一宮とともに駅名が変更になっている。こうして展望席に乗っていると岐阜までの30分も短く感じる。
犬山遊園に入線した7000系パノラマカー | 展望席から見る犬山鉄橋 |
パノラマカー同士のすれ違い | 岐阜に到着したパノラマカー |
名鉄岐阜からはいよいよ今回の2番目のメインイベント、新岐阜駅前に停車中の岐阜市内線に乗り込む。3月末で廃止予定のため、こちらは名鉄岐阜駅前とならずに、新岐阜駅前と旧名称のままで通している。ちょっとここで、岐阜市内3線が廃止になるにあたっての私見を述べてみる。まず、名鉄の市内電車というのは本当に乗りにくい、交通量の多い道路の真ん中で安全地帯もない。新岐阜駅前はまだ近くに横断歩道があるからましな方だ。後で乗り換える徹明町などはもっとひどい。横断歩道もないところで、すぐ脇に車がバンバン通っているところで乗り降りしなければならない。普通の感覚ではかなり危険。子供や年輩者には利用しずらい施設である。これも利用者が減っている原因になっていると言う。路面電車は地下鉄やモノレールと違い駅での階段の上り下りがなく、簡単に乗り降りできるのが最大のメリットなのに、それがここ岐阜では生かされていない。名鉄も何度も安全地帯の設置を県や市に申し入れたそうだが、道幅の関係や、自動車交通の妨げになるということから受け入れて貰えなかったそうだ。安全地帯の設置が難しいのであれば、海外では事例のある「シグナルアイランド」と いう方式をとってもよさそうである。シグナルアイランドとは、道幅が狭く、安全地帯が設けられらねない場所で、電停の前後に信号を設置し、路面電車が電停に停車している間は、その前後の信号を赤にして、自動車の交通を遮断するという方式である。これであれば、信号機の設置だけで、その他に大きな投資も必要なく、安全に乗り降りができる。もっとも、自動車が信号に止まるので、渋滞になるから嫌だと言われてしまえばそれまでだが。
新岐阜駅前に停車中の780形 | 車内の運賃表 |
それにしても岐阜市は徹底的に自動車交通保護、路面電車邪魔という認識があるように思える。今回の廃止に関しても、名鉄が引き続き運行すべきという一点張りだった上に、廃止の決定もあっさりとなされてしまった感じがする。マイレール意識も乏しく、昭和40年代でもあるまいし、ちょっと時代錯誤的だ。中小ならいざしらず、大手名鉄がやってるから大丈夫という漠然とした安心感があったというのも事実。しかし、大手だろうと、中小であろうと、乗客が乗らなければ赤字が出るわけで、すべてを名鉄任せにして、官民一体となって、この問題に取り組んでこれなかったというのが、今回の最大の敗因であろう。実際、岐阜市の対応については、名鉄が廃止表明を行なったあとも、大きな変化はなかった。岡山電軌が上下分離を前提に運行を引き継ぐという提案があっても結局、受けられず。フランス、コネックス車の申し出にもなんか消極的で、もう、無くすって決まったのだから、余計な騒ぎは起こして欲しくないといういかにもお役所的な態度が見え隠れする。そして、この路面電車をなくすことが本当に岐阜市、岐阜市民のためになるのか、これから将来に渡っての岐阜市の市内交通に対す る考え方が全く見えてこない。たかが一地方都市と言うかもしれないが、岐阜市は、人口40万人。名古屋のベッドタウン、そして観光地としての要素も兼ね備えた都市である。その都市交通がマイカーとバスだけになってしまうのに本当に不都合はないのであろうか。もう今さら、名鉄の3月31日を以って廃止というのは覆らないだろうが、一部の市民団体やNPOは、廃止後、ただちに施設の撤去は行なわず、近い将来、復活に向けての動きがあるようだが、今はこの活動に期待するしかないようだ。
黒野に到着した780系 折り返しは急行新岐阜駅前行になります。 |
黒野駅名標 |
黒野駅 | 黒野駅に停車中の連接車770形 |
770系 中日新聞の広告車 Qちゃんのラッピングです。 | 黒野駅に貨車が留置されています。 以前は本揖斐へ向かう列車の発着線でした。 |
さて、電車は徹明町の交差点を左に曲がり、今度は千手堂を右に曲がり、まさに岐阜の市内をのろのろと進む。西野町を過ぎると、長良川を渡り、専用軌道に入り、忠節に到着する。ここから路線名が揖斐線に変わるが、電車はそのまま黒野へと行く。美濃北方を出るとまもなく、樽見鉄道とアンダークロスする。せっかく、クロスするのに、お互いに駅は設けられていない。樽見鉄道はそこから約300m程のところに北方真桑駅が存在する。駅の位置を変更して、乗換駅を作れば、大垣へ、岐阜へとこの地区に新たな鉄道ネットワークが出来たのに残念だ。もし、いずれ、揖斐線が復活するようなことがあれば、是非とも検討して欲しいところだ。さらに電車はことことと進み、根尾川を渡り、終点黒野に到着する。黒野からは3年半程前まで本揖斐と谷汲まで路線が延びていたが、2001年9月末で廃止になっている。今から思えば、このときにもう少し危機感をもって、残った路線のテコ入れをしていれば、もしかしたらこんなことにはならなかったのにと思うとちょっと口惜しい。折り返しを1本落として、少し時間を作り、駅周辺をうろつく。回りは住宅地で、ここに住んでいる人は、4月からは 、この揖斐線はもう使えない。というかとっくに、マイカーなので使っていないのかもしれないが、鉄道駅がすぐそばにあるのとないのでは、精神的にも、地価的にもかなり違いがあると思うのは、東京者特有の見方なのだろうか。駅裏手には、本揖斐と谷汲へと二手に分かれる廃線跡が続き、車止めがあるもののまだその様子がはっきりわかるように残っている。そして、モハ510形も留置されている。この名車である510形は4月以降どうなるのだろうか。どこかに保存してくれるといいのだが。そして、私個人としては、黒野から鉄道がなくなってしまったら恐らく、この地にはもう足を運ぶことはないだろう。このまま、最後になってしまうか、何年後に鉄道が復活してまた黒野を訪れることができるであろうか。数年後にコネックスが参入していて、この町のありとあらゆる表記がみんな仏語にでもなっていたらそれはそれで驚きだが。(笑)。
黒野駅構内 | 510形も留置されています。 |
3年前に廃止になった本揖斐へ向かう線路です。 車止めがありますが、まだ先までよく残っています。 |
こちらは谷汲線跡です。 廃止前の様子はこちらへ |
黒野を後にして、もと来た鉄路を徹明町まで戻る。徹明町は美濃町線との乗換駅(電停)であるが、前述したように安全地帯もなく、非常に恐ろしい乗り場である。また、岐阜市内線と美濃町線との乗換は交差点を挟んで反対側で非常に不便。岐阜市内線を降りる。安全島もない車道との間に降ろされる。脇には車がバンバン走っている。信号が変わって、車が止まる。歩道へと渡る。美濃町線の乗り場のある方へ信号待ちの上、交差点を渡る。再び信号が変わるのを待って、安全島のない美濃町線乗り場へと行く。という具合に、3回の信号待ちが発生し、乗り場はすぐそばに見えているにもかかわらず、そこまでたどり着くのに5分はかかる。乗り換える途中、トイレに行きたくなったので、交差点の角にあるメルサに入ってトイレを拝借。平日だったからかもしれないが、店内には店員以外ほとんど人影はない。都心部の空洞化とはこの事かと、思い知らされる。
徹明町に到着した780系 乗降場は緑色になっているだけで 安全島もなくちょっと危険です。 |
道路の真ん中で発車を待つ美濃町線 590形 徹明町 |
徹明町からはちょっと古めの590形で美濃町線へ。競輪場前から田神線と合流し、岐阜からの電車が先行する。この電車は日野橋止まりだが、先行する新関行に野一色で乗換えができるようになっている。競輪場−野一色間は、連続して2台の電車が走るわけだが、ちょっと効率が悪い。先行列車は新関止まりで長良川鉄道に接続する関までは行かないがとりあえず、野一色で先行列車に乗り換える。車両は連接車の880形である。日野橋から先の区間は、専用軌道とも併用軌道ともつかぬ独特の雰囲気の中を走る。このまま新関止まりに乗っていても仕方ないので、途中の交換駅である下芥見で、1本落として、関行に乗り換える。通常は、新関止まりと関行が1本おきに走っている。新関と関の間は非常に近く歩いても行けるが、関では長良川鉄道に接続するため、長良川鉄道の列車が来ないときには関まで行っても仕方ないということなのだろう。ちなみに、この新関−関間は新関−美濃町間が廃止されるときに、廃止の条件として、関まで連絡線を設けるということになった新線区間である。日中であれば、30分に1本なのだが、夕方近くなので、15分後には電車が来る。鄙びたホームで待っている と、地元の高校生も集まってきた。通学の足としても利用されているようだ。今朝から天気はあまり芳しくなかったのだが、ここに着て、とうとうポツポツと降り出してきてしまった。元々雨の予想だったので、ここまで持っただけでもよしとする。
下芥見に到着した880形 タブレット交換をしています。 | 880形同士のすれ違い 下芥見 |
下芥見駅 | 下芥見駅名標 |
下芥見に入線する800系 | 800系 下芥見 |
ここ下芥見から先は通票閉塞式になりタブレット交換をしながら進む。夕方ということもあると思うが、車内は座席がほぼ埋まる程度には乗っている。これだけ乗車人員がありながら、採算が取れず、廃止になってしまうというのは、やはり運営方法に問題があるような気がする。大手が大手の基準に沿って運営するのではなく、分社化等の独立採算制を敷くなどの方法をもっと早く導入していればなんとかなったのかもしれない。このあと、白金、赤土坂とタブレットを交換して進み、新関に到着。多くの乗客が降りるかと思っていたが、ほとんどの客は長良川鉄道との乗換のため関まで行くようだ。
通票 下芥見−白金 △ | 通票 白金−赤土坂 ○ |
通票 赤土坂−新関 □ | 通票 新関−関 △ |
新関を出ると、左に大きくカーブして、併用軌道にでたかと思うと、また専用線に入って、すぐに関に到着。前述した通り今から6年前に関−美濃町間が廃止されるのと引き換えに出来たので、まだ施設に新しさが残る。せっかく作ったのにわずか6年で廃止になってしまうなんてなんとももったいない話しである。雨脚はかなり強まって、降りて写真を撮るのも一苦労という感じになってきた。さっさと撮影をすませて、折り返しの車内で発車を待つ。折り返しは16時43分。東京よりは西にきているので、普段よりは日が長くは感じるが、あいにくの空模様で、だいぶ薄暗くなってきている。帰りもそこそこの乗客を乗せながら、岐阜へと進む。行きと同じように、日野橋から徹明町行が先行し、野一色で乗換るように案内される。自分はそのまま岐阜へ行くので、競輪場前で美濃町線とわかれて左にカーブして田神線へと入っていく。ほどなく進むと再び右にカーブして専用軌道に入っていく、車窓左には市ノ坪の車庫が広がる。ここに緑とアイボリーのツートンカラーの旧塗装車を発見。写真を取りたかったが、動く車窓からはうまく撮影できず、残念。実は行きも日野橋で白帯の入った600形とす れ違っており、これに乗りたいと思っていた。しかし今日のところは時間はなそうで、明日、予定を大幅に変更して、再びくることに決める。市ノ坪を出ると、各務ヶ原線が左から近づいてきてやがて合流。ここで電気が600Vから1500Vに変更される。この美濃町線を走る車輌はこの区間のために600V、1500Vの複電方式であり、このために車輌コストも高くなっている。各務原線は複線なので、本線横断をして合流。次の田神は、各務原線と同じ駅だが、当然、車高が違うため、各務原線のホームの手前に、美濃町線用の低いホームが設けられていてここに停車する。田神を出るとすぐに終点岐阜となる。今日のところはとりあえずここまで、このまま名古屋本線の快速特急で名古屋へ戻る。パノラマスーパーの1000系の一般車に乗るが、転換クロスシートの快適な車内である。
関に到着した880形 | 関駅 |
長良川鉄道の車庫 | 長良川鉄道のレールバスが留置されています。 |
関駅名標 | 名鉄岐阜に到着した880形 |
名古屋に到着後、とりあえず、今日の宿泊先である名鉄ニューグランドホテルにチェックイン。場所は新幹線側の方の駅前で、駅とは地下街を介して繋がっているので、雨が振っているが傘いらずである。12,3階の建物だが、下半分はビッグカメラがテナントして入っている。通された部屋は10Fだったが、裏通りに面していて景色はそんなによくはない。しかし、景色をゆっくり見る暇もなく、夜の部へと出発する。夜の部なんて書き方をすると、なんか怪しいとこにでも行く感じがするがそんなとこに行くわけもなく...。
まずは駅の地下街で夕食を取る、名古屋名物の味噌煮込みうどんと思っていたが、かなり混雑していたので、矢場トンという名古屋では有名という味噌カツ屋へ。今回はちょっと奮発してヒレを注文。味噌カツ、味噌カツとは言うが、なんのことはない、普通のとんかつにソースではなく、味噌ダレがかかっているという代物だ。しかも、東京の用に、自分で好みの量をかけるのではなく、最初からかかっている。いつもソースをたっぷりかける自分としてはちょっと物足りない感じがした。店もいかにも昔からの食堂という雰囲気で、あまりいい感じではなく、値段もそれなりに取る。東京ではとんかつと言えば、和幸のチェーン店によく入るので、そこに比べると、店の雰囲気、値段ともにちょっと疑問。味も皆が言うほど絶品というわけでなく。それでも名古屋の人には人気があるらしく、客がひっきりなしに入ってくる。
とりあえず腹ごしらえも終了。これから夜の部へと突入。昨年10月に名古屋大学−新瑞橋間が開通してこの区間がまだ未乗だった名城線へと向かう。どうせ地下鉄で、昼も夜もないんだからと、夜に組み入れたのだ。今から740円の1日乗車券なんて買っても元が取れるわけもないので、朝、名鉄で買っておいた名古屋版パスネットとも言うべきトランパスを使用。このカード、現在のところ、名古屋市営地下鉄、名鉄、桃花台新交通、あおなみ線で使用可能である。改札口にカードを入れるとパスネットとは違い、初乗りが引かれるという方式ではなく、後払い式のようでどちらかというとスルッとKANSAIに近い形か。しかし、初乗り運賃以上の額が残っていないのと、改札口は通れなかったので、関東と関西の中間方式のようだ。まずは地下鉄東山線で栄へ。
東山線 5000系 | 伏見駅名標 |
名古屋地下鉄路線図 東京、大阪ほどではないが、さすが3大都市圏だけあって 地下鉄網が充実しています。 |
東山線 5050系 |
栄から名城線に乗り換える。名城線は昨年10月に名古屋大学−新瑞橋間が開通して地下鉄としては日本初となる環状運転を実施している。東京の大江戸線は線路こそ環状の形をしているが、運転形態は都庁前を起点とする6の字運転なので、環状運転とは言えない。まず最初に来たのは大曽根行、とりあえず、乗ってしまう。大曽根から次の電車は、次の名古屋ドーム前・矢田行。なんだよって思ったが行き先が面白かったので、これにも乗ってしまう。
名城線 2000系 大曽根行 | 名城線 2000系 ナゴヤドーム前矢田行 |
名城線 ラッピング広告車1 | 名城線 ラッピング広告車2 |
栄から名城線に乗り換える。名城線は昨年10月に名古屋大学−新瑞橋間が開通して地下鉄としては日本初となる環状運転を実施している。東京の大江戸線は線路こそ環状の形をしているが、運転形態は都庁前を起点とする6の字運転なので、環状運転とは言えない。まず最初に来たのは大曽根行、とりあえず、乗ってしまう。大曽根から次の電車は、次の名古屋ドーム前・矢田行。なんだよって思ったが行き先が面白かったので、これにも乗ってしまう。そして、その次に来た列車が、名城線(右回り)。山手線では内回り、外回りと言っているが、ここ名城線では栄→大曽根→名古屋大学→新瑞橋→金山→栄を右回り、栄→金山→新瑞橋→名古屋大学→大曽根→栄を左回りと言う。それでは、その右回りに早速乗る。実は、砂田橋−名古屋大学間は2003年12月に開業しているのだが、この区間も初乗りということになる。環状部の新線区間である右側部分は前述した通り、2本に1本は大曽根止まりで、運転本数が半減するが、既存の東山線、鶴舞線、桜通線と交差し、とても便利そうだ。現に、この列車もほぼ座席が埋まるくらいの人数が乗っている。いくら環状で既存の線と交わっていてもどこぞの首 都と違って、運営形態が分かれているということもないので、運賃的にも非常に乗りやすい。東京の大江戸線の利用者が低迷しているのは、他でもない、都営と東京メトロと2社に分かれているのが一番大きな原因だと思うが、名古屋ではそのようなこともなく、今回の名城線の環状化は成功と言えるのではないだろうか。
名城線左回り | 名城線右回り |
行先にも「名城線(左回り)」と表示されます。 | こちらは「名城線(右回り)」です。 |
左回りは英語では"Meijo Line Counterclockwise" つまり反時計回りと表現されています。 |
右回りは"Meijo Lien Clockwise" 時計回りと表現されます。 |
新線区間の八事駅 鶴舞線との乗換駅です。 | ホームにある名城線路線図 |
八事駅乗り換えコンコースにあるモザイク壁画 松坂屋提供というのがいかにも名古屋らしいです。 |
今日最後は金山から名鉄6800系 名鉄名古屋 |
ということで、新瑞橋を経て、金山に到着。夜の部はこれにて終了。金山からは名鉄で名古屋出て、ホテルに戻った。
セントレアμスカイと岐阜市内3線 後編 | |
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