「はやて」に乗る!


東北新幹線が1982年に盛岡まで開業して20年。昨年12月1日に、やっと、その先の八戸までが開業した。もっと早く乗りに行きたかったのだが、まあ、年末年始は浮世の用事がいろいろあって、やっとのことで休みをもらって、出向くことにした。今回わざわざ平日に行くことになったのは、たまたま駅のポスターで見かけた、ビュープラザのチラシ。「はやてで行く八戸日帰り1万円」が目にとまったからだ。え、まじ?これってものすごく安くないか?ちなみに、東京から八戸まで正規運賃で片道だけでも、15000円。往復すれば、30000万円だから、この往復10000円がどれだけ安いか分かってもらえるだろう。しかし、その分、いろいろ制約もある。まず、出発日が1月いっぱいの平日しかないこと。それから、行きの列車ははやて3号。帰りの列車ははやて24号と決められており、当然、乗り遅れがあったとしても変更はきかないこと。などである。どうせ、目的は新幹線の乗り潰しなんだし、乗れればなんでもいいわけで、早速、申し込むことに。ツアーといっても、個人旅行みたいなもんで、事前に切符をすべて渡してくれて、勝手に行って、勝手に帰ってくる。向こうで は観光タクシーが待ってるので、市内観光にも連れていってくれる。添乗員も当然いないという気楽なもの。ま、値段があまりにも安いし観光付きということなので、今回は両親と祖母を誘っていくことにした。父は仕事で、新幹線にはよく乗ってるようだが、母も祖母も、東北新幹線自体にほとんど乗ったことがないそうで、結構、楽しみにしてるようだった。でも、やっぱり一番楽しみにしているのは俺なのかな。(笑)さて、そんな当日、朝ちょっと寝坊気味で少し慌てて家をでるが、それでも、発車の30分前には東京駅についた。

はやての入線です。 こまち3号・はやて3号そして手前は古参の200系
はやて3号はこまち3号と併結で22番線からの発車 こまちとの連結部分
まもなく引退となる200系オリジナル車両。

東京駅はどこを見ても、12月1日はやて開業の文字が躍っている。それだけでも、これから、はやての乗って八戸まで行く、胸が高まる。とりあえず、さっそくホームに行って、お決まりで写真を何枚か撮影。余命あとわずかの200系オリジナルの姿もまだ健在。相変わらず、東北、上越ホームには旅立つ前の多くの人でごったがえしており、2面4線のホームには入れ替わり立ち代りいろんな車種の新幹線が、各方面へ発着していき、活気に呈している。さて、上野方から入線してきたはやて3号は、今回、八戸延伸のために新規投入されたE2系1000番代。計3編成しかななく、他は従来からの列車を2両増結したものが大半を占めるわけで、全編成新車の編成にあたるなんて本当についている。列車は入線しても、折り返し運転で、車内清掃を行うので、すぐには乗れず、その間、ホームをかけずりまわって写真を撮る。さすがに、登場したばかりのはやてということで、そこかしこで、記念写真を撮っている人が多い。発車の5、6分前にやっと、乗車。新車だけあって、とてもきれいで、デッキ付近も、バリアフリー対策のためかかなり広くとってある。荷物を網棚にのせたり、コートを脱い だりしている間に、出発進行。すぐに、御徒町トンネルに入って次は上野。北の玄関口を東京に譲ったとはいっても、まだまだ上野からもそれなりの乗車がある。すぐに、地下区間を抜けて、鶯谷付近から再び、地上に。山手線、京浜東北線を一段高い位置から眺めると、非日常の世界にきていることを実感する。田端をすぎて、山手線と別れて、今度は、しばらく埼京線と共に大宮へ向かう。前の日、東京は雪だったが、今日は快晴。不思議に思えるが、東北新幹線の車窓から信じられないほど、きれいに、しかも大きく、富士山が見える。大宮に到着し、ここでも少なからず乗車があり、満席に。賛否両論あるようだが、全車指定だから、立ち客がいないので、指定さえ取れれば落ち着いて座っていられる。そして、前にも書いたが、指定券も新幹線自動改札機に通しているので、車内改札もないところがいい。これには、母も祖母も関心していた。よく乗る東海道新幹線ではまだ切符を見に来るとひとしきり、JR東海の悪口に花が咲く。大宮を出て、少し行くと、風景が都会からだんだん田舎っぽくなっていき、昨晩降った雪で一面の銀世界の中をゆく。はやて3号も速度をあげてゆき、最速の275km/h へ。と書くものの、車内に表示もなく、想像の世界だ。275km/hは東海道新幹線ののぞみよりも早い速度なわけだし、せっかく、車内にLEDがついているのだから、ニュースやお知らせを流す合間に「只今の速度は時速275Km/hです。」などと表示させれもいいのではないかと思ったりする。仙台では約半数近くの近くの乗客が入れ替わり、さすがに、東北唯一の政令指定都市だけのことはある。そして、次は盛岡。だんだん、雪深くなっていくのだが、乗った場所がちょうど台車の下で、ときおり、なにかを巻き込んだようなものすごい音がする。新車なのにって思って、ちょっと心配になったが、その理由が翌日に判明した。跳ね上がった雪が床下で凍り、それが落下することがあるらしい。ニュースでそれが原因で、沿線付近の住宅にまで飛び散り屋根を壊すなどの事故があったようだ。おそらく、その氷の塊が台車に巻き込まれた音なのだろう。

盛岡に到着。 ここでこまちと切り離されます。
二戸に到着。短い停車時間に、秒撮です。(笑) 終点八戸に到着。
反対側のホームに止まっていたE3系。
こちらは0番台。側面の窓が小窓なのに注目です。

そして、いよいよ盛岡からが新線区間。事前情報通り、トンネルだらけの区間で、ときおり見せるあかり区間も、トンネルとトンネルの間のつなぎ的な感じで実に忙しない。この列車はいわて沼宮内は通過になり、陸上トンネルとしては世界最長の25808Mの岩手一戸トンネルを通過する。ここでも、とくに何のアナウンスもないので、LEDに案内があってもよさそうである。岩手一戸トンネルを抜けるとすぐに、二戸である。そして、二戸をでると八戸はもう本当にすぐ。盛岡からは30分足らずで八戸に到着する。在来線時代の役半分の時間である。さて、八戸に到着して、とりあえず、ツアーの集合場所の改札口前のビュープラザに行ってみて驚いた。なんと黒山の人だかり。そこに、ラウドスピーカーを手に持った係員がなにか叫んでいる。もしかして...そう、今回、このツアーに参加した人達なのであった。Aコースが八戸市内観光。Bコースが買い物コースで、Aコースだけで、190人の参加者がいるという。Bコースはそこまで多くなくても、150人くらいはいる感じだ。そして用意されたタクシーはミニバスも含めて26号車まである。とにかく圧倒されっぱなし。これって、す ごいツアーだったのね。はやての目新しさとと1万円という安さが大当たりしたようだ。さて、人数の割には手馴れているのか案内もスムーズで我々4人は17号車と案内され、その場でタクシーの運転手が迎えに来てくれている。ちょうど、4人乗りなので、貸切タクシーという感じだ。タクシーは三八五交通のタクシーで、運転手は、いかにも東北の人らしい、素朴な方だった。ちなみに、三八五は「みやご」と読み、三戸、八戸、五戸のことである。市内は昨日の雪で真っ白だが、天気は快晴。気温も寒いかと思って、かなり厚着をしてきたのだが、東京とさしてかわらず、すでに、溶け出した雪で、道路がぬかるんでいる。まず最初に連れていってくれたのが、八戸市博物館。とにかく、八戸ってどんなとこだろうと思ってたからちょうどいい。ゆっくりみても30分弱ですぐに見学が終わってしまうような施設だが、中には、縄文時代や弥生時代の遺跡から出土した土偶や土器があり、重要文化財に指定されているすばらしいものもあるので一見の価値ありだ。それもそのはず、青森には有名な三内丸山遺跡があるのだから、ここ八戸にもこれに類するものがあっても不思議ではないのである。その他に は江戸期に使ったと思われる、着物や皿小鉢なども展示されている。さて、博物館を出たところに、なにか、気配を感じる。ふと見ると、583系の廃車体。しかも中間車だけ1両。おそらくモハネ583。なんでこんなとこに???運転手さんの話によると、個人の持ち物で、倉庫かなにかに使っているのではという話であるが、詳しいことは定かではない。

八戸市博物館の前にあった583系の車両

さて、運転手さんにいろいろ案内してもらいながら、つぎなる目的地の蕪島へ。ここは夏場はうみねこの繁殖地として有名であり、春には一面の蕪の花が咲き誇る場所だが、冬のこの時期には、うみねこの姿もなく、蕪の花もない。かといって、つまらない場所ということでもなく、北太平洋が一望できる。ただ、風がふくすさんでおり、ここはかなり寒かったが...そして、春から夏のうみねこの繁殖期は晴れていても傘をささなくてはならないらしい。なぜかって?そらから雨のように糞が降ってくるそうだ。(笑)ちゃんとシーズン中は、入り口に傘の用意があるという。今はその傘立てだけがあるばかりだが...そして、待ちに待った昼食タイム。市内の料理屋に連れていってくれる。もちろん、料金は別払い。そのために、スポンサーをちゃんと連れてきたのだ。ここで、うに、いくら、ほたての3色丼と、八戸名物のいちご煮をたいらげる。いちご煮とは、なにも苺が煮てあるのではなく、あわびとウニがはいっているという贅沢この上ないお吸い物である。入っているウニが苺のように見えるところからいちご煮というのである。そして、このいちご煮は激ウマ。こんなおいしいお吸い物はま じで初めてである。さすがに、値段はたかが、吸い物に1000円もするが、1度は食する価値ありである。さて、腹ごしらえもすんで、今回最後に訪れるのが八食センターと呼ばれる市場である。ここは八戸の台所で、新鮮な魚介類をはじめ、菓子やお土産も揃うようなところである。そして、新鮮な素材を使って出されるレストランやお寿司屋さんも入っている。そして、とにかくでかい。本当はここでの買い物は30分で、そのまま八戸駅まで戻ってくれるのだが、ここで、解散にしてもらって、1時間くらい買い物をすることにした。しかし、ここまで約3時間、タクシー貸切状態。本当なら、これだけでも、3万円くらい取られるはず。運転手さんもいい人だったので、親父が、タクシーの運転手さんに、心づけを渡してお別れをした。さて、ここ八食センターははっきりいって、すごく安い。普通、こういうような、市場は札幌にしても、函館にしても観光ずれして結構値が張るものだが、八戸はちょっと違う。本当に安い。持って帰れさえすれば、たくさん買いたいところだが、新幹線ではそうもいかず、少しばかり買い物をする。もちろん、クール宅急便で送ってもよいのだが...そして、ツア ーに参加している人が集まってくるので、ものすごい活気がある。これが、本当に新幹線効果であろう。買い物ついでに、店の人にちょっと話しを聞いてみると、やはり新幹線の開業後は、このような東京からのツアーがすごく増えたそうである。でもって、また春になったらまた来て下さい。と仕切りに頼まれる。開業ブームの一時的な現象にならないかと危惧されているようである。確かに、そのようなとこはある。今回だって、JRが開業ブームにあやかって、企画した激安ツアーだし、はやてという目新しさから、集客力もあるように思えるが、これが、1年後、2年後はとなると疑問が残る。さらに、リピータを獲得できるかとどかと言えば、それも定かでない。ただ今回はあまり季節的によくない時期であり、私なんかは、春から夏に、蕪島にもう1度行ってみたいし、さらに、その先の種差海岸なんかへも行ってみたいとは思うが、実際に行くかどうかは分からない。そしておよそ10年後には、新幹線は新青森まで延長されてしまう。今は、東京から八戸行ということで、終点なので、注目もされるだろうが、新青森までできれば、八戸は単なる通過点になってしまうのである。それだけならまだ しも、速達タイプの列車は通過してしまう可能性もあるのだ。この問題をどうやって解決していくかがこれから八戸の課題でもあろう。さて、八食センターからはタクシーはキャンセルしてしまったので、自分達で駅まで戻らねばならないのだが、新幹線に合わせて駅まで100円バスが運行されている。本数は1時間に1本とちょっと不便で、しかも、所要時間はわずか10分とは言えどもこのツアーのおかげで、車内はものすごい混雑。こういう時には臨機応変に臨時でもでるような対応になっていればいいのにと思うが、まだまだそのような体制までは整っていないようである。

八戸駅 新幹線のりば
新幹線改札口 改札内 天井が高く柱もなくとても広々としています。

行きは慌しかったので、駅の様子をちょっとみてみたいと思って少し早めに駅に戻る。さすがに、新しい駅舎できれいで。駅名には、JRの他に、青い森鉄道の看板もかかっている。母なんかは、「新幹線だけじゃなく、青い森鉄道っていうのもきてるのね。」なんて言ってる。鉄道業界の人や、地元の人、それから鉄道が趣味の人は在来線がJRから切り離されて第三セクターになったことは常識に思えるが、普通の東京の主婦の感覚はこんなものかと思ってしまった。せっかくだから、この機会に、ちゃんと説明してやったが、そのときはふんふんと聞いてはいたものの、どこまで覚えているかは甚だ疑問だ。(笑)。そして、みどりの窓口では、お約束の、はやて開業記念のはやてとスーパー白鳥のペーパークラフト付きのオレンジカードと限定のキハ58国鉄色の7枚組のオレンジカードを購入する。

八戸駅名標 在来線の駅名標 
右側は第三セクターに移管された青い森鉄道になっています。
新幹線ホームからガラス越しに撮ったのでぼけてます。
八戸駅に並んだはやて 1000番台の特徴である、横長の側面窓。
1000番台 はやてのシンボルマーク

帰りの列車ははやて24号。この車両も全車新車の1000番代。16時55分。昼間はあんなに天気が良かったが、夕方は雪がちらつくような天気に急変。すでに、あたりはかなり薄暗くなってきている。はやて24号は、二戸のほかにも行きは通過したいわて沼宮内にも停車する。両駅とも短い停車時間だが、ちょっとホーム降りてどれだけ乗り降りがあるか見てみると、さすがに降りる人は1人、2人入る程度だが、乗る人は、二戸はもちろんのこといわて沼宮内でもそれなりにいたのに少し驚いた。盛岡からは3分ほど遅れてきたこまちを連結し、東京へ向かう。しかし、東京につく頃にはどこで盛り返したのか、いつのまにか定時に戻って、無事東京に到着。今回のはやて初乗りツアーは終了した。

こちらが東京方です。 ホームの様子
青森方に回送列車が去って行きます。
十年後には新青森行きになることでしょう。
これが、青森方です。この先に車庫があります。

帰りの車内で食べた駅弁の数々

駅弁特集
はやて弁当 本当は真鍮製の弁当箱仕様が欲しかったけど、
1日限定10だそうで、手に入りませんでした。
はやて弁当の中身 東京と八戸の名物を詰めた幕の内弁当です。
全国駅弁コンクール第一位 八戸小唄寿司  鯖と鮭の押寿司になっています。
こちらは金賞を受賞している 菊ずし 笹に包まれたお寿司です。

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