小湊鉄道・いすみ鉄道 房総半島横断の旅


18きっぷの季節になると、よく行くのが房総である。首都圏から近く、日帰りが可能で手っ取り早く、その上、ぐるっと1周できるのが、魅力であろう。今回も、そんな感じで房総行きを決行する。といっても、毎年、おんなじ風ではつまらない。今回は、小湊鉄道といすみ鉄道で房総半島を横断することを主眼において、出発する。
まずは新木場発6時56分の朝一の快速で蘇我へ向かう。新木場の窓口氏に18きっぷに日付を表す入鋏印を押してもらうが、このあほんだら駅員は、2回目があいているのに、3回目に押してしまう。まじかよ!まったくしょうがないな。文句言ったら、すみません。事情話して、次回は2回目に押してもらってください。だって。それはいいけど、2回目のところに押したときの鉄では、駅の乗降で駅員は絶対3回目の日付を見るだろうから、いちいち説明して乗り降りしなくてはならないじゃないか。まったく、面倒くさいというか、人と口をききたくないときもあるのにうざったいことこの上ないことが予想され、憮然となる。まあ、押されてしまったものは仕方ないし、こんなことで悪態ついてもしょうがないので今回はおとなしく引き下がって、ホームへとあがる。しかし、この6時56分の快速ってのは、普段会社に早出をしなくてはならないときに乗る筋なので、なんかあまりいい気分ではない。(笑)。ホームに上がるとまずは上下の朝一のさざなみが通過するので、東京方の先端までいって、いよいよ置き換えが決まった183系の写真なんかを撮影してみる。さて快速電車は、夏休みの土 曜日ということもあって、ディズニーランドへ行く客や幕張メッセで開催されている大恐竜展へ向かう客で結構な乗車率。海浜幕張を過ぎて、やっと非日常の気分に少し浸り、蘇我に到着。

今年の秋で引退が決まった183系さざなみ 新木場駅 こちらは貫通型の0番台 新木場駅
113系 五井駅

蘇我からは内房線で五井へ向かう。五井といえば、小湊鉄道。東京から近くで、非電化、クリームと朱のツートンカラーの旧型気動車が走っているということで、最近は、TVCMやドラマにも多く登場するようになり、鉄道ファンじゃなくてもちょっと名の知れた鉄道になってきた。とりあえず、小湊鉄道のホームへ行き、ホームの端っこにある詰め所のようなところで、小湊鉄道・いすみ鉄道、共通の房総半島横断切符を1600円で購入。片道券だが、後戻りしない限り、何度でも途中下車できるということである。すでに列車は入線しており、早速乗り込む。車内はオールロングシートで少々味気ない。列車は定刻どおりに走りだし、2つ目の海士有木に到着。五井から2つ目で多少住宅地にはなっているものの、まだまだ自然のままの姿が保たれたところだ。ここに京成千原線が接続する構想なのだが、最近は、具体的な話も聞かず、立ち消えっぽい感じがしなくもない。上総牛久までは乗客もそれなりに多かったが、上総牛久を出ると、2両もつなげているのがもったいないくらい。しかもその少ない乗客のうち半数近くは鉄と見られる。列車はいつしか山間を進むようになり、養老渓谷に到着。牛 久以遠にくる列車でも、この養老渓谷で折り返す列車もあり、次の1区間までの上総中野まで行く列車は数少ない。養老渓谷を過ぎるとかなり駅間があり、ようやく終点の上総中野に到着する。
本来は、小湊鉄道という名称からも分かると思うが、その昔は外房の安房小湊を目指していた鉄道であるが、今やその夢もやぶれ、ここ上総中野でとまってしまい、もはや延伸の構想もない。ここで、いすみ鉄道に乗りかえるが、このいすみ鉄道は、元国鉄の木原線。木は木更津、原は大原ということで、大原から上総中野を通って、現在の久留里線の上総亀山に繋がって木更津に至る予定だったが、こちらも、上総中野まで作ったところで断念。奇しくも、お互いに目指していた行き先は違ったものの、上総中野で小湊鉄道といすみ鉄道が接続し、房総横断の役割を果たすことになった。ということで、ちゃんと計画通り進められていたら、房総半島の真ん中に大きく×印の路線網が出来るはずで、上総中野は一大ジャンクションになるはずだったわけである。今は乗り換え駅と言っても活気は感じられず、山間の一駅に過ぎないといった感じだ。

小湊鉄道 五井の車庫 
キハ200 五井駅 土曜日ですが、一応、朝ラッシュの時間帯なので
五井駅に4両編成の上り列車が入線してきました。
海士有木駅 上総中野に到着したキハ200
サボとK.T.K マーク 養老渓谷側から撮影
上総中野駅 上総中野駅 駅名標
リバイバルではないクリームと朱のツートンカラーの気動車はもはやここだけです。やっぱり気動車にはこのカラーがとてもよく似合っています。

ホームをはさんで、いすみ鉄道が発着しており、千葉らしく黄色をベースにしたレールバスが止まっている。まもなく折り返しの小湊鉄道が再び五井に向けて出発してゆき、いすみ鉄道のレールバスだけが上総中野駅に取り残された格好になった。そのレールバスもしばらくすると出発となった。乗客は小湊鉄道から乗り継いだ鉄3人と地元客が2人の5人。小湊鉄道の続きのような山間部の景色が続く。春は沿線に菜の花が植えられているようだが、盛夏の今では、むせ返るような緑が車窓を覆い尽くす。沿線で唯一大きな駅の大多喜から乗客が急に増える。いつのまにか山間の景色から里の景色へと変わってゆき、50分あまりで大原に到着。五井をでてから約2時間半で房総半島を横断したことになる。

いすみ200型 上総中野駅
この型のレールバスも今では珍しくなりました。
車両導入から16年がたち、このタイプのレールバスは
そろそろ置換えの時期になりますが、まだ当面、この車両を
使い続けるようです。ファンにとっては嬉しいですが、
やはりそれだけ経営環境が厳しいということなのでしょう。
大原駅 いすみ鉄道は房総の魅力500選に入っています。
大原駅に到着 JRホームからいすみ鉄道のホームを眺めます。

大原からは外房線で勝浦へ向かう。今回はここ勝浦で1時間45分程、時間をとってある。訳は後で書くとして、とにかく、炎天下の中、時間潰しに、ブラブラと歩き出す。行き先は片道約2kmの八幡岬公園。CMで有名なホテル三日月の脇を通り抜け、ジリジリと照りつける太陽の下をとぼとぼと歩いていく。魚市場の横を通るが、こんな真っ昼間では、誰もいるわけもなく、ゴーストタウンのようだ。1Km程歩いただろうか、目の前にちょっと長めのトンネルが現れた。しかし、そのトンネル車が1台やっと通れそうな狭いトンネルで、歩道もない。そのくせ、時々、車の往来もある。ちょっと怖かったけど、そのまま先に進む。さすがに、疲れてきたし、そろそろついてもよさそうな距離だが、まだ公園らしきものもなく、もう少し先まで歩いていくと、ようやく、公園の入口に到着した。公園ではちょうどわかしお祭りなる催しが行なわれるようで、中の広場ではそのリハーサルの真っ最中。ステージからは音量いっぱいの道路工事でアスファルトを砕くようなヘビメタが流れている。この暑いさなか、不快指数が余計に上がる。(笑)。これのどこがいいんだかね...。俺なら、今の季節はみゆき の「夏土産」あたりがぴったりだと思うのだが。(笑)。その広場を抜けると、疲れに追い討ちをかけるように階段が続く。もうやだと思ったころに頂上に到着。展望台からは勝浦灯台が見渡せる絶景が広がった。振り向けば、勝浦市内も一望できる。苦労してここまできた甲斐があったというものだ。また、ここには家康の側室だったお万の像も立っている。さて、あんまりゆっくりもしていられないので、そろそろ勝浦の駅に戻る。気分的な問題だが、来た道なので、行き程は遠く感じない。海水浴に行く人とすれ違いながら勝浦駅に到着した。

113系 勝浦駅 勝浦駅
外房線複線記念碑 勝浦駅 八幡岬公園からの眺め。

さて、この暑いさなか、2時間近く時間を潰した理由は、183系のわかしお7号がここ勝浦から安房鴨川間が各停になり、これに乗るためである。昨年も同じようなことをしたが、これにしっかり味をしめて、今年も特急解放車に乗ることにした。しかし、今年は去年とちょっと意味合いが違う。先にJR東日本から発表された情報によると今年の10月16日のダイヤ改正で、さざなみ、わかしおで使用している183系は全社引退、新型のE257系500番代に置き換えられるとのこと。そして、この途中から各駅になる運用もなくなり、全区間特急で運転されるようになり、こうしてわかしお、さざなみに18きっぷで乗ることができる最後の夏になるのである。わかしお7号は勝浦到着時にはすでにヘッドマークは「普通」を表示。「わかしお」ではないのがちょっと残念だが、LEDではなく幕なので、よしとする。先頭車は簡易リクライニングシートだが、中間車は元グレードアップあずさ、グレードアップあさまの車両で、フリーストップリクライニングシートでなので、これらの車両に乗り込む。さすがに、8月の土曜日ということで、車内はそれなりに賑わっている。そして気が付いた点 だが、8両編成のうち、喫煙車は2号車のみのわずか1両になっている。煙草を吸わない、自分としては大歓迎だが、愛煙家にとってはますます肩身の狭い状況になってきている。勝浦から先は単線でしかもトンネル区間が多く、そのトンネルとトンネルの間から太平洋が見えると言った景色が続く。30分程で安房鴨川に到着。ここでの内房線の乗り継ぎ時間はわずか3分。その間に、もう1度、183系の写真を撮る。予想では、次の仕業に備えて、ヘッドマークが「普通」から「わかしお」になっているはずである。予感は見事に的中。めだたく、絵入ヘッドマークのわかしおになっていた。ところが、なぜか、この前面に1匹のスズメが戯れている。なんでこんなところに。ということで、スズメには申し訳ないが、手で追い払ってしまった。(笑)。こうして無事、写真撮影に成功。

183系 わかしお流れの普通列車到着です。
ヘッドマークは「普通」になっています。 勝浦駅
単線区間の安房小湊で対向列車を待ちます。
183系わかしお やっぱり絵入りヘッドマークの183系は
かっこいいです。
わかしおヘッドマーク

本当に時間がないのだが、ホーム中央の、売店で「わかしお弁当」を購入。ここで買わないと、お昼ご飯、食いっぱぐれてしまう。なんとかぎりぎり間に合って、内房線に飛び乗った。すでに、1時過ぎ。さっそく、弁当の包みを解く、パッケージは外房の観光スポットが賑やかに描かれている楽しいもの。(いまだに、閉園された行川アイランド(なめがわアイランド)の絵があるのは気になるところだが...)中身は、別にどうってことない幕の内弁当。大きくはないがエビフライが入っているのでちょっと豪華に見えるが、房総らしさは、ほとんど感じない。強いてあげるなら、ひじきの煮付けが入っているところくらいか。それでも値段は630円。ボリュームもそこそこあり、お勧めの駅弁だ。45分程かけて、房総半島を回り込み、内房へと入ってきて、館山に到着。

わかしお弁当 中身はオーソドックスな幕の内弁当ですが、
エビフライが入っているのでちょっと豪華に見えます。
これで630円はとても安いです。

今度はここから君津まで普通列車として運転する183系さざなみ16号に乗る。この先頭車は0番代の貫通タイプで、ヘッドマークはLED。本当に見難いことこの上ないが、君津までは55分と、小一時間、183系を楽しむことができる。外房とは違い、穏やかな内房の海を大きな1枚窓から眺めていると本当に旅行をしている気分になる。このあと木更津まで行きたいのだが、君津から先は特急になってしまうので、君津で下車、各駅停車に乗り換える。やってきて113系は4+4の8両編成。そのうち後ろ4両は非ユニット窓の古いタイプ。まだ現役で走ってるんだとちょっと感心。

113系 館山駅 83系0番台 さざなみ16号 館山駅
ヘッドマークがLEDで見にくいです。
183系さざなみ 東京方から撮影どちらにしてもLEDは見にくいです。 方向幕 館山−君津間普通となっています。
モハ189のトップナンバーこんなとこにいました。 君津駅に到着。ここから特急になります。

木更津ではもちろん木更津キャッツアイのロケ現場を訪ねるなんてことをするわけじゃなく、パー線こと久留里線に行く。(なぜ「パー線」かは「くるり」からクルクルパーに繋がり、パー線と呼ばれるようになったという説が有力。かなり失礼な言い方だが、地元には、結構、パー線って呼ばれて親しまれているようだから、それでいいか。(笑))久留里線は今や数少なくなった通表閉塞が未だに残る線だ。恐らく、東京からもっとも近くのタブレット交換であろう。そして、また珍形式の車両が揃っているのでも有名だ。通勤型気動車として一世を風靡したキハ30も今や現役で働いているのはJRではここだけ。(保留車はほかにもあるようだが。)そして、少数派のキハ37とキハ38。いずれも極めて珍しい存在だ。カラーリングはなんとも表現のしにくい久留里線色。(写真をご覧下さい。)久留里線ホームに行くがまだ列車は入線しておらず、回送で入線してきた車両はキハ37+キハ30。まずはキハ37の方に乗る。夕方近くということで、車内は座席がほぼ埋まる程度の混み具合。しばらくは木更津の近郊の住宅地を走るが、そのうち、田畑が多くなり、いつのまにかすっかり田舎の景色 に変わる。午前中に乗った小湊鉄道と雰囲気はよく似ている。久留里までに乗客の大半は降りてしまい、残り2区間を進み、終点上総亀山に到着。

113系 非ユニットサッシ 君津駅 側面の様子。非ユニット窓の車両、まだ残ってたんですね。
木更津駅 キハ37 木更津駅
キハ30 キハ38

先ほども書いたが本来はここから上総中野まで伸びて、木原線(いすみ鉄道)と繋がる予定だったが、現在は、その計画もなくなり、房総半島のほぼ中央の山間部にひっそり存在している。上総亀山には1度来ているはずなのだが、あまり印象がなく、こんなとこだったけ?という感じだ。これでもかというほど狭く2両の有効長ぎりぎりの島式ホームは、ちょっと終点らしくない光景である。さて折り返しは車両を移りキハ30に乗る。なんとこの車両今時珍しい非冷房車。実は行きに気付いていたのだが、行きはまだ日が高く、暑いので冷房の入ったキハ37に乗ったのだ。復路は夕方になり暑さも多少が収まるだろうということで意を決して、暖房車に乗り込んだ。最初はちょっと暑いかなって思ったが、列車が走りだすと、全開にされた窓から涼しい風が流れ込み、とても心地よい。そういえば、昔の夏の電車は冷房車なんてのがまだ多くはなくて、大半はこんな感じだったよなって当時のことを懐かしく思い出した。行きはぼーっと乗ってきてしまったが、帰りはちゃんとタブレット交換を見学しなくてはということで、横田駅で列車交換の様子を観察する。ちょうどこちらの方が先に到着していたの で、駅員が運転士からタブレットを受け取って、対向列車に渡すようにスタンバっている。ほどなく、対向列車がやってきて、タブレットを交換。そして対向列車からのタブレットがこちらの運転士に渡された。一連の行事が終わると列車は慌しく出発となった。こうして往復で約2時間半の久留里線の旅を終え、再び木更津駅に戻ってきた。

上総亀山驛 驛が古い字体になっています。 上総亀山に停車中のキハ37
上総亀山に到着したキハ37 色あせた看板が物寂しげで、どこか諦めさえも感じます。
線路はここで途切れます。
ここから上総中野を経由して大原まで抜ける予定だったが...
車体側面には久留里線のシンボルマークが描かれています。
上総亀山に停車中のキハ30 久留里に停車中のキハ30
タブレット交換 駅長がタブレットを持っています。横田駅 対向列車が入ってきました。
○確認 運転士がタブレットを持って乗り込みます。

後は東京を目指すだけ。千葉行きのホームに行くと、18時を過ぎてるためか、売店では駅弁半額とのこと。ちょっと小腹も空いてきたし、とにかく半額という言葉にめっぽう弱いので、確か昨年も食べたが、漁り弁当を購入。定価1000円の弁当が500円と大変お得だ。早速、千葉行きの車内で食べることにする。袖ヶ浦、姉ヶ崎と京葉工業地域を抜けて、五井に到着。ここで、今回、房総を1周したことになる。千葉からはE217系の快速大船行きで東京を目指す。総武快速線は混んでるという印象があるが、自分が乗るときは、いつもこんな時間で通勤とは逆方向なので、たいてい空いている。今回も後ろよりのボックスシートを占領して帰ってくる。途中、市川付近では江戸川の花火大会らしく、車窓からも花火がよく見える。18きっぷでの旅の最後に花を添えられたようで、今回の鉄も無事終了となった。

漁り弁当 
定価1000円ですが、18時以降だったためか半額の500円でした。
中身はあさりご飯です。
113系 千葉駅 最後はE217系 総武快速線です。 千葉駅

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